ダイヤモンドと錆のあいだで〜ジョーン・バエズの終わらない記憶

古い窓辺とテーブル ロック/プログレ
ジョーン・バエズ..思い出と共に生きる、静かな祈りの歌

タイムラインにJoan Baez(ジョーン・バエズ)とボブ・ディランの話題が流れてきたので、切なくなる曲をひとつ。

ジョーン・バエズの Diamond and Rustは、彼女の代表曲であり、そして何より ボブ・ディランとの関係を赤裸々に描いた歌として有名。

歌は、一本の電話から始まる。
相手は別れた恋人ボブ・ディラン。(歌ではディランとは言ってない)
声ひとつで、思い出がまるで昨日のことのように蘇ってしまう。
その瞬間、ジョーンが見ている景色は「いま」ではなく「あの頃」

若い二人が過ごした時間
空気の感触
香りや音

全部が一気に形を取り戻してしまう。
そして彼女は歌う。

「思い出は、ダイヤモンドにも、錆にもなる」と。

輝きと痛みが同時に押し寄せてくる。
彼女はそのどちらも否定せず、
ただ 「そういうもの』として受け入れている。

その姿がとても静かで、切なくて、強い。
そして確実に終わりが影のように佇む。

現実の世界では、ディランはもう
ジョーンの知らない場所で別の人生を始めていて
いつの間にか別の女性と結婚していた。

彼女に告げることもなく、
何も説明することもなく、
いつのまにか人生が枝分かれしていってしまった。

でも、歌の中のジョーンは恨んでいない。

怒りをぶつけるでもなく、
過去を美化するでもなく、
ただ、あの時間はあの時間で確かに存在したと
穏やかに見つめているように
私には感じられる。

だからこの曲は、
失った愛にしがみつく歌ではなくて
思い出と共に生きるための
静かな祈りのような歌になっているんじゃないかな。

思い出は消えたりしない。
いつも光と錆のあいだで揺れながら、
静かに人の奥に残り続けるものなんだって思ってる。

この曲を最初に聴いたのは中学生の頃だ。
ボブ・ディランとのエピソードも知らなかったし
よく意味もわからずにラジオで聴いていた。
でも何か強烈に「大人の世界」感じ取っていて
記憶に残っているんだよね。

タイトルとURLをコピーしました