私が生まれた、あの真夏のお昼。外では蝉たちがこれでもかと鳴り響いていたという。陽射しあふれる青空の向こうで、太陽は獅子座の真ん中に重なってた。あの日の空の星たちの存在を、ちいさなタトゥーにして手首に宿した。
しなやかなラインで描かれた獅子のシンボル。頭上にはエネルギーの源である太陽。胸元には「獅子の心臓」と呼ばれる星・レグルス。そして、くるんと丸まったしっぽの先にはデネボラ。あの日、私の頭上にあった光の並びが、そのまま肌の上に描かれた。
ギリシャ神話では、勇者ヘラクレスと堂々と渡り合ったネメアの巨獅子だ。夏が始まる頃、東の空からヘルクレス座が昇ってくると、まるで入れ替わるように獅子座は西の地平線へと静かに姿を消していく。星々の巡り合わせに、あの神話の続きを重ねてしまう。沈みゆく運命にあっても、獅子は決して誇りを失わない。
太陽そのものは、誰かの反射光ではなく「自分自身が光の源であれ」と灯り続ける生命力
胸元のレグルスは、古代から「王の星」と称えられてきた星だ。四方を司るとされる四つのロイヤルスターの一つで、レグルスはその中でも「北の王」の座を任される星。損得ではなく、自分の誇りと直感に従う勇気をくれるお守りだ。
そしてしっぽのデネボラ。伝統的な占星術では不名誉の前触れとされ、レグルスとは正反対の星とされてきた。けれど近代の占星術家の中には、そこに前進や改革のエネルギーを見出す人もいる。私にとってのデネボラは、まさにこちら。世間の枠にとらわれず「私だけの道」を歩んできた、これまでの軌跡をまるごと肯定してくれる星だ。
心臓の情熱から、しっぽの先が描く自由な軌跡まで。ひとつに繋がった光のライン。

ふと手首に目をやるたび、生まれた瞬間に降り注いでいたあの夏の光に思いを馳せる。太陽、レグルス、デネボラ。三つの光が重なって、「私は私の光で、自由に歩いていこう」といつも軽やかに背中を押してくれるような気がするのだ。
太陽と獅子座は、いつでも私の手首で、私らしく輝いている。
※ This tattoo was a precious birthday gift from my dear friends, Ajarn Boo and Philippe. Thank you for giving me a little star to carry with me always.
BGM: King Crimson – Trio
この記事を書きながら聴いていたのは、私が15歳の頃から愛してやまないキング・クリムゾンのアルバムたち。そこから今日は『Trio』を。即興演奏中、ドラマーのビル・ブラッフォードがスティックを置き、腕を組んでその美しさに聴き入ったことでパーカッションレスになったという名曲だ。メロトロンとヴァイオリンが織りなす静謐な余白が、白昼の青空の向こうにある星々の静けさに重なる。


