メーテンの畑を歩いていたら、地面いっぱいに花が降り積もっていた。
木から落ちてくるたび、音もなく世界が優しく更新されるみたいで、その愛おしさを持ち帰りたくて、いくつか拾って水に浮かべようと思った。
けれど家に着いたときには、その命はもう終わりの方へ静かに傾いていた。
消えゆく「今」を生きる花にも、たしかに、生まれ落ちた「今」があった。
瞬間は終わるけれど、瞬間という流れは終わらない。
その連なりのどこかで、私もまた生きている。
そう思いながら、失われたのではなく「そこに在った」という証として、一晩だけ花びらをテーブルに散らした。
小宇宙の中に大宇宙を見る。
—— だからこそ、たった一輪の花に心が震える。
一粒の砂に世界を見て
To see a World in a Grain of Sand
一輪の野の花に天国を見るには
And a Heaven in a Wild Flower
手のひらに無限を乗せ
Hold Infinity in the palm of your hand
一時(ひととき)のうちに永遠を認識すること
And Eternity in an hour
(ウイリアム・ブレイク「無垢の予兆」)
(William Blake, Auguries of Innocence)
音楽は、Paul Schwartz の “State of Grace – Auguries of Innocence”
花の儚い命と、永遠に触れる感覚をつなぐ音楽。あの瞬間の感覚を思い出させてくれる気がしたから。



