この冬、久しぶりに「これは好きだ」と思える星空の写真を撮った。
それが、あの夜のオリオン座だった。
星景写真を撮る人から見たら、ごく普通の写真だろうと思う。
まだまだツッコミどころが満載なのは知っている。
でも気に入っているのだ。
特別な場所に行ったわけではない。
特別な設定を組んだわけでもない。
ただ、夜空を見上げて、星が整うのを待って、シャッターを切っただけだった。
それでも、その瞬間には
「今だな」
という感覚があった。
うまく説明はできないけれど、
撮る前から、もう結果を知っているような、
そんな静かな確信だった。
オリオン座は、不思議な星座だと思う。
星に詳しくなくても、
星の名前を知らなくても、
見た瞬間に「オリオン座だ」とわかってしまう。
三つ並んだ星。
そこから広がる、均整の取れた配置。
整いすぎているくらい整っているのに、
どこか冷たくなりきらない。
夜空なのに、少し人の気配があるように感じる。
写真を見返していて、
あらためて印象に残ったのは、光のバランスだった。
この夜のオリオン座では、
赤く静かに輝く星ベテルギウスが、画面の左下にあり、
青白く鋭い光を放つ星リゲルが、右上にあった。
同じ星座の中に、
まるで性質の違う光が共存している。
見る時間や立つ場所によって、
星の並びは少しずつ姿を変える。
それでも、この二つの光がつくる対比だけは、
どんな向きになっても変わらない。
強く前に出る光と、
ただそこに在り続ける光。
そのバランスが、
オリオン座全体を、落ち着いたものにしている気がした。
星は、ただ光っているだけのはずなのに、
並び方や色合いで印象が変わる。
同じ空の中にありながら、
強く主張する光もあれば、
静かにそこに在り続ける光もある。
あの夜のオリオン座は、
何かを語りかけてくるわけでも、
気づきを押しつけてくるわけでもなかった。
ただ、
「今はこれでいい」
そう言われているような気がした。
スピリチュアルな話になると、
どうしても
「意味」や「メッセージ」を探したくなる。
けれど、私が夜空に見出すのは
答えをくれるというより、
問いを急がせない存在だ。
何かを決めなくてもいい。
前に進まなくてもいい。
ただ、今ここにいるだけでいい。
そんな空気が、
オリオン座の形そのものからも伝わってくる。
この写真を撮った夜、
私は何かを変えたわけではない。
何かを手放したわけでもない。
それでも、
胸の奥に、少しだけ余白ができた。
オリオン座は、
語らない。
導かない。
けれど、その在り方そのものが、
こちらの内側を、静かに映し出している気がした。
次は、このオリオン座を見ているときに
自然と思い出した、
ある日本神話の女神の話を書いてみようと思う。
夜空の星と、
踊る女神。
まったく別のもののようでいて、
あの夜の私の中では、確かにつながっていた。
その話は、また次回に。



