クリスマスのこの時期、ふと夜空を見上げたくなる。 昔、東の空に輝いて賢者たちを導いたと言われるクリスマスの星。 今も、その物語は静かに語り継がれている。
星の物語と二つの星
天文学では、あの光は木星と土星が重なって見えた コンジャンクション だったのではないかと言われている。 実際には、二つの惑星が近づいたわけではない。 遠く離れたまま、ただ地球から見ると同じ方向に並んで見えただけなんだよね (^^;
それでも、その見え方は人の心に物語を生み、希望や祈りの象徴になっていったわけだ。
木星は祝福や広がりを、土星は試練や成熟、時間の歩みを象徴する星だと言われる。
人生にも、そんな二つの要素があるよね。
なんだかうまくいく時期があったり、まっすぐ未来へ手を伸ばせる気がする時もあれば、思うようにいかない時間、悪い夢でも見ているように前進できない日々もある。
ただ、時間がゆっくり流れるなかで
「辛かったけど、もしあの経験がなかったら今の自分はないかも」
と思える瞬間が生まれることがある。
傷つくことがあっても、その中で育っていたやさしさや、静かな強さや、少し落ち着いた希望のようなものが、胸の奥に灯っていることに気づく時がある。
その光は、子どもの頃に抱いたまっすぐな明るさとは少し違うけど、深くて、あたたかくて、長い暗い夜を知っている光なんだよね。
すべての人の中に生まれていく光
きっと、昔の旅人たちも、ただ「明るい星」を見ただけではなかったのだろうなって思う。
迷いながら歩く途中で、「ここへ向かっていけばいい」と静かに背中を押してくれるような光として、星を見上げていたのかもしれないよ。
人生には、星のない夜空を見ているように感じる時もあるけど、星は消えてしまったわけではなくて、 雲に隠れているだけかもしれないし、星が見える場所に、自分が到達していないだけかもしれない。
まだ歩いていけるかもしれない。
もう少しだけ、生きてみたい。
その小さな感覚こそが、人の中に灯っている「星」なんじゃないかな。
かつて、この星はひとりの子どもの誕生を告げたと言われている。
でも、もしかしたらそれは特定の誰かだけの星ではなくて、すべての人の中に灯っていく光を示していた星だったのでは?
そう思うと、遠い昔の物語は、いまを生きるひとりひとりの物語へと、脈々と静かに続いているように思える。
そしてもし、この冬に夜空を見上げることがあったなら、空の星だけでなく、同時に胸の奥で灯っている自分自身の小さな光にも、少しだけ気づけますように。
Bach(バッハ)暁の星のいかに麗しきや
《Wie schön leuchtet der Morgenstern》(暁の星のいかに麗しきや)
「ベツレヘムの星」と断言する作品ではないけど、救いを告げる星の輝きを象徴するコラールとして、クリスマスと強く結びついている曲。温かく包み込むような光の音楽。



