Homkhao homnaa(หอมข้าวหอมนา)は、2024年にオープンしたばかりの素敵なメーリムのカフェ。
普段は週末だけ、静かに扉を開けている。
年末年始、メーリム周辺のカフェがどこも人でごった返している中で、ここだけは不思議なくらい、穏やかな時間が流れていた。
視界の先に広がるのは、ひらけた田園風景。
作られた「景色」ではなく、この土地がもともと持っている空と風と余白が、そのまま残っている。
その景色を眺めながらいただく、ケーキやコーヒー、ハーブのお茶、ライスベリー(黒米)の酵母で焼いたパンのオープンサンドイッチ、シリアルボールなど。
どれも派手さはないけれど、丁寧に作られていて、身体に無理なく馴染んでいく味だ。
私のお気に入りはレモンケーキ。
香り豊かなココナッツケーキも、なめらかなプリンもとてもいい。
最近はアイスドリンクにプラスティクの容器で提供されることが多いが、ここはちゃんとガラスのコップに入ってくる。テイクアウト用の紙やプラスチックの容器は有料。
気づけば、「もう少しだけここにいようか」そんな気持ちが何度も浮かび、つい長居してしまう。
オープン以来、何度か訪れているれど、昨日の訪問は、チェンマイのベストシーズンを絵に描いたような1日で、天国かと思うほど穏やかな気候のなか、心地よいそよ風が、田んぼの上を渡っていく。
インスタ映えを狙ったカフェが次々とオープンし、写真の美しさを求めて多くの観光客が集まる今のチェンマイで、ここは、ひっそりと残されていた宝物のような美しい場所だ。
時間の流れが乱されることもなく、風や光や空気が、本来のままに感じられる。
そして、こには余計な緊張がない。
最近、チェンマイを訪れる友達や家族と、自然とここに足が向くことが多い。
日本から来た人を、ここで過ごす時間に誘いたくなるのは、この場所に、タイの田舎の原風景が残っているからかもしれない。
今現在、金土日しかオープンしていないのが残念。
田んぼの広がりや、水の気配。
人の暮らしと自然が、無理なく隣り合っている風景。
どこか懐かしくて、けれど日本とは違う。
そんな感覚が、言葉を交わさなくても静かに伝わってくる。
誰かを案内する場所というより、いつのまにか、同じ時間を分け合っていた場所。風の通り方や、田んぼの色、午後の光。
そのどれもが何かを語りすぎることなく、ただ、そこに在り続けている。
今のメーリムに、まだこんな時間が残っていることが、少し嬉しくなるカフェだ。
宝石のように感じているからこそ、分かち合いたい気持ちと、そっと守っておきたい気持ちのあいだで、少し複雑な心持ちになる。
インスタ映えのカフェが増えるチェンマイで、ひっそりと静かな時間を守っている、メーリムの小さなカフェ。
田園風景を眺めながら過ごす、穏やかな午後。


